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HPAIR振り返り

 

2月15日から2月18日までハーバード大学で開催されるHPAIR -Harvard Project for Asia and Internaitonal Relationsという会議に参加してきたので、その振り返りも兼ねて自分をちょっと省みたいと思います。

 

 

 

  1. HPAIRとは??
  2. パネルディスカッション/セミナー
  3. プログラムの目玉:Impact Challenge
  4. 一番の収穫はネットワーキング!
  5. 印象に残ったこと
  6. 自分は何をやっていきたいのか(ビジョン)
  7. 現地の気候や参加費など

 

 

 

HPAIRとは??

HPAIRとはハーバード大学の学生が運営する学生、社会人経験数年のユースを中心とした最大規模の学生会議で、主にアジアパシフィック地域が直面する政治、社会、エネルギー・環境、経済問題などの社会課題をパネルディスカッション、セミナー、ケーススタディを通じて学んだり、多様な背景を持つ参加者間で意見交換しインスパイアする趣旨で開催されています。

当初は学生会議だと思ってたのですが、産業界でバリバリ活躍してる若手の参加者がいて、(ベンチャーキャピタリストなどの投資家、エンジニア、弁護士、アントレプレナー、国際機関で働く人やMicrosoftなどのITセクターで働いてるビジネスマンなど)多様な顔ぶれでした。参加者は300人で90ヶ国から集っており、イラクパキスタンカメルーンなど中東やアフリカからの参加者も多かったです。

学生でもマスターの方も多かった印象です。

 

夏ではアジア地域で開催され(去年はマレーシアクアラルンプール、今年の夏はカザフスタンでの開催予定)、冬はハーバード大で開催されます。またプログラム期間もアジア開催の方が1日長い5日のプログラムでフィールドトリップなども組み込まれているようです。

フライトのコストや滞在費用的にもアジア開催のHPAIRに参加する方がリーズナブルですが、ハーバードとMITに行ってみたい、ボストンの街を訪れたい、時間があればニューヨークにも行ってみたいってミーハーな気持ちで最初からいくなら冬の方のHPAIRに行こうと思ってました。

(*追記 期末考査が会議後にあったので観光なしの弾丸とんぼ返りでした。。。涙)

 

↓以下が2019年度のHPAIRのスケジュールです。

Conference Schedule – Harvard Project for Asian and International Relations


選べるトラックが次の6つで

Art Media & Culture

Energy & Enviromental Sustainability

Entrepreneurship & Technology

Global Markets & The Economy

Governance & Geopolitics

Social Policy & Justice

僕はEnergy & Enviromental Sustainabilityを選びました。

 

本当は機械学習を勉強しており今年の4月からそっち方面で働くので、Entrepreneurship & Technologyでも良かったのですが、最近環境問題に関心がある、また新しい分野をせっかくの機会だから広げてみたい、エネルギー問題や食糧供給・保障に機械学習をどのように応用する余地があるか探って見れれば尚良いって想いで選びました。

 

パネルディスカッション/セミナー

 

パネルディスカッションは初日はEnergy & Enviromental Sustainabilityに参加したのですが、二日目はテック系のトラックのパネルディスカッションが"Building The Future with Artificial Intelligence: Automating Tasks and Empowering Humanity"というテーマで自分のキャリアに関係あったのでEntrepreneurship & Technologyの方に参加しました。

ハーバードやMITの大学教授、産業界、スタートアップで活躍されてる方のディスカッションで学び多かったのですが、エネルギー・環境トラックのセミナーも印象に残りました。

 

セミナーの趣旨を説明するとフード産業の市場規模のうち約30%に値する200~300兆円もが生産過程の非効率で無駄にされているという状況をいかに改善するかのビジネス案(問題提起、対象 (市場規模)、解決策、比較優位性、ビジネスモデルなど)を25分で考えてベンチャーキャピタリストを想定して5分ピッチするというものでした。

技術者や科学者としていかに素晴らしいアイデアがあったとしても、それを伝えるコミュニケーション能力がなければ、"That's good idea. Good luck with your business"って言われて突き返され、始めることすらできないことが山のようにあるそうです。

サイエンスとビジネスのギャップを埋めるためのコミュニケーションのダイナミズムを感じるためのセミナーでとてもインターアクティブでした。

17,8人が4~5人の4チームに分かれて考えるのですが、バックグラウンドがChemical Engineer専攻のインドの学生、弁護士、ファイナンスの学生、ビジネスマンと僕というとてもユニークなチームでした。

インドの学生がアンモニアから肥料を生成するみたいなテクニカルなアイデアを話していて、僕としてはインド訛りの英語とその技術的な話を理解するのに精一杯で、とてもいかにビジネスとして可能性があるか、どの市場をターゲットにしてどのようなビジネスモデルにするのかの話まで持っていくことができず、とても難しかったです。

 

バックグラウンドの違うもの、特に国が異なり文化や価値観、コミュニケーションの取り方が違うもの同士が一緒にワークする難しさを肌で実感する初めての機会でした。

 

ピッチでの学びよりも、多様性のある多国籍チームで如何にシナジーを生み出していくかを考えるいいきっかけになりました。

 

プログラムの目玉:Impact Challenge

Impact Challengeは最終日に丸1日あり、これがプログラムの中で一番ヘビーでした。

 

趣旨としては、

1. 宇宙ビジネスでのスタートアップ案

2. どの新興国マーケットが一番魅力的かをベンチャーキャピタリストにピッチ

3. ロヒンギャやシリア難民に対する人道支援の政策案

4.テクノロジーと保険会社を組み合わせて途上国の医療コストを減少させるビジネス案

5. グローバル企業のコンサルティング

上記の5つのテーマから一つ選んで、それぞれのテーマで与えられるケーススタディをこなし、そのアウトプットを7分間ピッチして起業家や産業界の方にジャッジしてもらうというプログラムです。

 

上記三つは完全お荷物になるのが目に見えてたので、4つ目のテーマを志望し、参加させていただきました。

 

チームはニュージランドで政策系を学ぶ学生、韓国の医療学生、インドのデータサイエンティストと僕の四人でした。

 

改めて言いますが、多様性ありありです。

 

さて、肝心のグループワークですが、やはりレベル高かったです。

ニュージランドの学生がファシリテーターとして議論の方向性を作り、話を幾度となく前に進めて意見をまとめてくれ、韓国の医療学生は最新の医療技術や途上国における医療コスト高の原因など、コアな意見を出し、インドの学生は施策の効果などのフェルミ推定してました。

韓国の学生はお父さんが医療業界で働いてるので、ディスカッション中に"Papa, I'm just working on 〇〇~ and we got some questions to ask ~"みたいな感じで電話も始めていました。笑

 

コンサル会社で働くならこんな感じなのかなぁ〜、かっこいいなぁってイメージしてました。

 

一方で僕はというと、議論であまり貢献できなかったですね。。。

みんなの議論を客観的に聞いて、その中でしっくりこないところを質問してこうした方がいいんじゃないかみたいなことを数回提示しただけで、チームの中では全くバリューを出せず申し訳ない気持ちでいっぱいでしたね。

 

結果的にコミュニケーション能力はやはり大事だなと思いました。

僕が意見を言っても、ロジカルに相手が納得するような言い回しで伝えることができなかったので、どれも見事に綺麗に反駁されました。

ニュージランドの学生はネイティブなので当然ですが言い回しやボキャブラリ、表現力が豊かなので、必然的に発言力は上がります。その中で僕としてはどのような役割を果たすべきなのか、将来のキャリアを考える上でもコミュニケーション能力は今から鍛えておきたいですね。

 

繰り返しますが、バックグラウンドも得意分野も異なる多様性のある中で、共通の目的意識を作り、如何にして個々のユニークさを統合したインパクトのあるアウトプットを出せるか。その過程でのコミュニケーション能力、チームビルディング、リーダーシップ力というのは、これからさらに多様性と創造力が強調される社会で重要な資質だなと強く感じました。

 

あとはリベラルアーツメジャーでこれといった専門分野はないので、僕の果たせる役割は何なのだろうかと、自分を客観視することもできました。

 

一番の収穫はネットワーキング!

HPAIRのプログラムの特徴は毎日1時間ネットワーキングの時間が取られていることです。

会場にはお菓子、フルーツやコーヒーなどが用意されていて、それをつまみながら、他の参加者に自分のやってること、ビジョン、今の目標などいろんなことを話して親睦を深めていきます。

90カ国から、しかも若いプロフェッショナルから学部生、修士、博士課程の学生までいろんなジャンルの方がいるので、新しい世界を広げる意味でも、HPAIRでコネクションを作る意義は非常に大きいです。

 

ただ正直言って、僕自身人見知りでガツガツ自分から話しに行けるガッツはあまりないので、最初はそわそわして落ち着かなかったです。

 

しかし、みんなとてもフレンドリーで明るく積極的に話しかけてくれたので、僕自身も最終日にはいろんな参加者と友達になることができ、最終的にはFBで友達100人弱くらい追加できました。(それでも3分の1いかない。汗)

 

彼らのポストや動向にはインスパイアされるし遠く離れていても繋がっているって感覚になります。

形は違えど、今それぞれがいるコミュニティや世界をより良い場所に変えていくっていう想いは同じで、その過程で個々の色が出るんだなぁって思います。そんな彼らの活躍をFacebookで知れるのはモチベーションに繋がる上に世界もまた広がるし、会議で一番の収穫だったかもしれません。

 

印象に残ったこと

参加者は総じてコミュニケーション能力が高かったなという印象です。

それを感じたのはHPAIRXというTed TalkをモチーフにしたHPAIRのプレゼンイベントとImpact Challengeでのピッチプレゼンでした。

HPAIRXでは事前選考に受かった会議の参加者が持ち時間20分使って自分の人生について語ります。

プレゼンターそれぞれにユニークな経験、苦労、感性が十二分に反映された立派なプレゼンでしたが、人の心を動かす表現力、そして言葉に納得感を持たせる語彙力と論理性はどのプレゼンターも共通して高いものを持っていました。

 

またImpact Challengeでも僕たちのチームがファイナリストに選ばれ、プレゼンしたのですが、やはり他のメンバーや他のチームのパブリックスピーキングはエネルギーに満ち溢れとても説得力のあるものでした。

 

 

このイベントを通じてコミュニケーション能力の定義を捉え直すようになったのですが、僕はコミュニケーションの中に重要な要素として主に3点あると思っています。

 

一つ目は人を動かすということ。

プレゼンの目的でもそうですが、最終的に人の心を動かし、実際にアクションに移させるかどうかがコミュニーケーションの一つのゴールでもあり、いいプレゼンかどうかの決め手でもあります。良い意思決定するために異なる意見を集約して価値を生み出す力も究極的には、何かするために必要な人を動かすことに繋がってきます。

 

 

二つ目は多様性から価値を生み出す力。

HPAIRに参加する前まではあまり意識しなかったのですが、これだけ多様性が叫ばれる社会で、自分と異なる人と距離を作るのは簡単だし、共通項の多い仲間といる方が居心地は圧倒的にいいです。

しかしそれではお互いの理解も進まないし、差異を理解し尊重しないようなコミュニーケーションが蔓延ると、無関心な社会を生み出してしまいます。

違い(ユニークネス)を理解し、それをうまく組み合わせて、コラボレーションすることで新たな価値を生み出す。その過程には自分の専門外の人と対話する力、全く畑違いの分野の人とでも、物事を深堀り専門家では知りえないような新たな視点を加えられると、世界はさらに広がっていくと思います。

 

SPACE Xを創業したイーロンマスクに関する好きな話があるのですが、彼は創業当初、全く宇宙に関する知識がなかったそうです。しかし、宇宙工学専門の社員を横につけて、あれこれずっと質問して吸収し続けた結果、3年後にはその人よりも深い知識を得るようになったという逸話があります。

つまり物事を深く知るための良い質問、また全体像をつかむためにそれぞれのピースを埋める質問をする力が重要なのかなと思いました。それができれば共通知識も有さない場合でも、コラボレーションできると信じています。

 

 

三つ目は、異なる利害を持つアクターが多くいる中で責任ある意思決定をする力。

この世の中には本当に向き合わないといけない問題がたくさんあります。しかし、複雑な利害が絡み、ジレンマ状況にあるために物事が前に進まない、解決の糸口が見えない問題も多々あります。

そのような多くのアクターが絡む状況で向き合うべき問題に対面し、対話を進めていく。最終的にアクターが納得する意思決定まで持っていくことができるかどうか。

国際交渉の場で求められる力だと勝手に想像していますが、この力はコニュミーケションの真髄だと思っています。

 

3のような場面はこの会議の中ではなかったのですが、会議で取り扱った社会問題はこの三つの要素を確実に含みます。

そういった複雑な問題を解決するために上記三つを達成できるコミュニケーターは本物のコミュニケーション能力を有してるんじゃないかなぁと思いました。

 

 

自分は何をやっていきたいのか(ビジョン)

HPAIRでは自分を客観的に見つめざるをえないです。

というのも、アカデミアの世界で自分のユニークさを育み、実社会でその人にしかなし得ないことに従事していたり、学生ならあることに問題意識を持って、それを解決するために〇〇を学んでいるって方に多くお会いできたからです。 

ユニークさが明確で、自分の色をしっかり持っている参加者に囲まれて数日過ごすと、自分は何をやっていきたいのか、自分に喜びをもたらし、かつ他者の幸福にも貢献できることは何なのか、深く考えるようになります。

 

しかし、人生の目的意識やミッション、ビジョンなどは簡単に見つかるものでもなく、目の前のことをただひたむきに楽しくやっていくと同時に、新しい世界を絶えず探求していく中で、形成されるものだと思っています。

 

再来月4月からはデータ分析系の業務に従事するので、まずは自分のスペシャリティ、強みを磨いていきたいと思います。

Technology & EntrepreneurshipのAIに関するパネルディスカッション後にパネリストのMITの先生に質問する機会があったのですが、そこで「いいデータサイエンティストとはどのようなことを指すのか。またその資質は何か」(漠然としていますが、)自身のキャリアの参考にするために聞かせていただきました。

 

彼によると、「今はデータサイエンスはバズっているからエントリーポイントだけでいうと誰でもなれる。ただ、本当にインパクトを残そうと思ったら、一つのことに秀でてないといけない。他のことも少しは知っておくべきだが、自分はこれだというものをしっかり一つ持つこと。その上で大きなインパクトが残せる場所で働くことが大事だよ」といったようなお言葉をいただきました。

 

僕自身、データサイエンティストになりたいなといった漠然としたゴールしかなかったので、まずはデータサイエンスが取り扱う領域を大まかに知った上で、自分が情熱を持てる分野、また得意だと客観的に言い切れる分野でエッジを磨いていこうと思います。

 

現地の気候や参加費など

ここまで結構長くいろんなことは話しましたが、最後に将来参加するデリゲートにプラクティカルな情報を。

まずボストンの2月の気候ですが、夜は−7℃とかいき、とても凍えそうになりました。昼間は平均0℃、あったければ4~5℃くらいでした。

スーツの下にユニクロのウルトラスーパーライトダウンベストを着て、その上にこれまたユニクロのシームレスダウンパーカを着れたら寒さは感じなかったので、ユニクロである程度の防寒はできます。ただ足はスパッツ履いても寒かったです。

 

参加費はアーリーバードと普通に応募する2ラウンドあったのですが、早くアプライすると参加費は50ドル安くなります。(Early: $350 Regular: $400)

また奨学金のチャンスも早期選考のみあります。

僕は卒論で忙しかったので、早期選考を逃してしまい、しっかり400ドル払いました。

 

また現地のSIMカードに関してはハーバード大学の横にT-mobileショップがあったので、そこで購入したのですが、4Gどころか3G回線すらもキャッチできなかったので全く使えませんでした。。。(40ドル無駄になりました)

端末が悪いのか、何が原因かわかりませんが、携帯が使えないとウーバーも呼べないし、他のデリゲートと連絡とる手段もないので困りものです。キャンパスのWifiも使えますが、ゲストユーザーとしてログインすると1日しか使えなかったので要注意です。

 

出費は飛行機代 90000円、参加費 $430 (オプションでHPAIRTシャツも購入したため)、あとAirbnbで5日滞在して$150、プラスして夜ご飯は出ないので15万くらいは優に飛びます。

それくらい投資する価値は断然あると思います。むしろこの費用を上回る価値を生み出すかどうかはこれからの行動次第です。

 

インスパイアされいろんな仲間と繋がった。そして自分を客観視し、情熱とビジョンを模索し、ユニークさを磨いていこうと決意できた。これからの挑戦と努力次第でこのHPAIRを高いと捉えるか安いと捉えるかは皆さん次第です。

自分のクレジットカードも持てない貧しい国からきている参加者も中にはおり、彼らはスポンサーを探したり、クラウドファンディングで必死に資金集めしてきていたりしています。

またビザがおりなくて参加できなかったデリゲートも多くいました。

 

それを考えると、ビザを取得する必要もなく(僕はイランに行ったので取得しないといけなかったですが)資金的にもアルバイトちょっと頑張ればいけると思うので、観光もかねてハーバードで開催されるHPAIRに参加するのも全然ありだと思います。

(ただ時差には注意です。二日目のパネルディスカッションでは眠気がピークで正直やばかったです)

HPAIRの日本人のデリゲートは6人程度だったので、皆さんも機会があれば是非挑戦するべきです。

おそらく地域で参加枠が当てられているのかもしれませんが、ハーバードのHPAIRと僕の周りに言ってもまだまだ認知度は低いイメージなので、積極的に挑戦すれば意外と受かるかもしれません。

 

 

 最後まで読んでいただきありがとうございました!